野村不動産 住民説明会議事録(要約)
2024年9月26日 野村不動産「(仮称)高津計画」住民説明会より2024年9月26日、地域住民の求めに応じて、ようやく野村不動産による住民説明会が開かれました(ここに至るまでの経緯は、説明会告知チラシに簡単にまとめてあるのでご参照ください)。
私たちは、全ての近隣関係住民はこの計画に関する「知る権利」と「意見を述べる権利」を有しており、野村不動産は誠意を持って自らすべての情報の開示と計画の詳細を説明する社会的責任があると考えます。ところが、市の条例ではこの規模の工事に「説明会を開く義務」は規定されておらず、野村不動産はこうした事業者寄りの法規制を最大限利用して、できる限り住民に知られないようコッソリと計画を進めようとしています。こうした不誠実で姑息なやり方は、いわゆる「違法ではないが不適切」な行為に当たると考えています。
会としては、当日参加できない方々の権利保護のために、WEBでのライブ配信を計画しましたが、野村側から「映像の配信、録画はやめて欲しい」との要望があり、急遽「音声のみの配信」に切り替えました。ところが当日になって突然「音声だけでも配信はダメ」と拒否、「強行するなら開催を中止する」と脅され、「録音のみ。配信はしない」という条件をやむなく受け入れざるを得ませんでした。配信がダメでどうやって皆さんに音声を届ければいいのでしょう? 希望者にデータをばら撒いていいとでもいうのでしょうか? そこで、当日までに聴取を希望されていた方および説明会に参加されていた方に限定で、セキュリティー上もっとも安全と思われる方法で、音声の公開に踏み切りました。
こうして私たちは、この説明会を通じて、野村不動産の高級・優良イメージの裏側に隠された「本来の姿」を目の当たりにすることとなりました。なぜ、野村不動産がかたくなに配信を拒んだのか。その理由の一端がここにあります。それはねじ曲がった”PROUD”(=高慢)と言ってもよいものです。
そもそもこれは、広く住民に計画の内容を周知するための公開の場であり、配信や内容の公表を制限する理由も権限も野村にはないはずです。公益性という観点からも重要と考え、住民説明会での質疑応答の要旨を簡潔な文章にまとめ、公開することとします。
(文責:飯島金物店跡地を考える会 片岡)
※発言者の名前は伏せました。
※発言の趣旨を要約し、分かりやすく表現を変えたり整えた箇所や、説明を補足した箇所があります。
| 日 時 | 2024年9月26日(木) 19:00~21:00 |
|---|---|
| 場 所 | 大山街道ふるさと館 2F・ホール |
| 白 石 | 野村不動産 開発課次長 |
|---|---|
| 葛 西 | フォーエバーサンクス(コンサル)部長 |
| 大 末 | 施工会社 |
| 田 村 | 飯島金物店跡地を考える会 |
| 片 岡 | 同上 |
| 発言者 | 近隣関係住民の皆さま(匿名) |
[開場前]
片岡「マイクをセッティングするので会場に入れてほしい」
葛西「ライブ配信は認められない」
片岡「話が違う。配信を待っている人がいる」
葛西「配信はダメ。来場者のプライバシーの問題。我が社のルール」
片岡「来られない方々の知る権利の侵害だ」
葛西「録音だけなら認める。聞かせるのは構わない」
片岡「限定配信だから同じこと」
葛西「とにかくダメ。配信をするなら説明会を中止する」
*
葛西「出席者名簿に住所氏名の記入を」
片岡「来場者のプライバシー侵害だ。認められない」
葛西「書かないなら入場させない」
片岡「(田村と相談の上)個人情報の使用目的を明確にした上で、来場者の判断に任せる」
[冒頭]
葛西「説明会を始めるに当たっての注意事項。写真撮影、録画・録音、ライブ配信などの行為は禁止。見つけ次第、説明会を中止する」
●00:06
田村「一方的な説明の場ではなく、話し合いの場として進めていただきたい」
会場(拍手)
[変更内容]
・着工日10月1日→11月1日に変更・北側駐車場を40cm後退、植栽スペースを設ける
・西側境界際(側溝通路)のパネルを一部取りやめ
・北側12階〜15階の窓を一部縮小
・北側共用廊下の手すり格子→磨りガラスに変更
[質疑応答]
葛西「質疑応答に入らせていただく。質問がある方は挙手の上、計画地との位置関係とお名前を」
「録音だけ録らせていただく」
片岡(自分たちは録るのか…!)
●00:44
発言者Ⓐ「工事の騒音振動が2年ちょっと続く。まだ小さい娘がいて昼寝もできない。個別に対応してくれるのか」
葛西「配慮できるところはする」
発言者Ⓐ「昼寝の度に毎回やるのか」
葛西「現場での判断になる」
●00:47
発言者Ⓑ「HPの企業理念に”人・街が大切にしているものを活かす云々”と書いてある。標識設置から要望書を出す期限も短く不誠実、取り次ぎみたいな人(フォーエバーサンクス)が来るだけで責任者(野村)は説明にも来ない。こんな姑息なやり方をして恥ずかしくないのか」
会場(拍手)「恥を知れ」(怒号)
葛西「市の条例には…」
発言者Ⓑ「これだけ能書きを言っておきながら、条例の最低限のことしかやらない。野村は出て来ないで誤魔化している」
白石「我が社のやり方として正式に業務を委託している」
発言者Ⓑ「理念と乖離している」白石「何が乖離してるのかわからない。何に反対しているのかわからない」
発言者Ⓑ「これだけの工事をやるなら、責任者が先にしっかり説明するのが筋」
白石「市の行政的には…」
発言者Ⓑ「行政の話はしていない。あなた方のスタンスを訊いている」
白石「条例に書かれていないが、ご要望いただいて説明会を開いている」
発言者Ⓑ「そういうやり方だということか」
白石「そうですハイ」
●00:53
発言者Ⓒ「書面(野村側からの回答書)にあるように、これは”話し合いの場”だったはず。話し合いではなく、一方的に説明している」
「野村不動産がすべてを決定しているのだから、野村不動産がすべて回答すべき」
会場(拍手)
葛西「野村不動産は回答している」
●00:55
発言者Ⓓ「工事時間が通学時間と被っている。時間をずらしてほしい」
葛西「小学校と協議する」
大末「搬入は8時半以降、大型は9時以降。通学時間は避ける」
●00:58
発言者Ⓔ「いろいろなやり方があるだろうに、なぜ15階建てなのか。その方が高く売れて鱈腹(たらふく)儲かる、ここに住んでる人は貧乏くじを引いてしまった、こういう実情か」
会場(拍手)
白石「企業は利益を上げないと存在価値がない」
「社会に対する責任を負ってまちづくりをやっている」
「容積率を最大限活かす(儲けが出る)案を様々検討した。隣接に近くて低層にするか、16m離して高層にするか、近隣に配慮して後者を選んだ」
会場「それは野村不動産の論理。利益でなく住民のためを考えれば発想の土台が違う」
●01:04
発言者Ⓕ「ここは静かで庶民的な町。みんないい人たちで素朴に暮らしてきた。利潤追求はこれからの時代ほどほどにしてほしい」
「階数を下げた事例もある。階数を減らしてほしい」
「子どもたちの安全を守ってほしい」
会場(拍手)
白石「階数を減らすことは難しい」
会場「そんなことない」「やめればいいだけ」(怒号)
白石「一番地域にやさしい計画だ」
会場「どこが(失笑)」
白石「高いかもしれない」「低くはない」「高いかもしれない」
会場「かもじゃない、高い」(怒号)
白石「何が住民のためか、視点の違い」
会場「じゃあ低層階にして」
白石「しません」
葛西「過去の事例は前提が違う」
「通学路は小学校と協議する。搬入時間をずらすなど配慮する」
●01:12
発言者Ⓖ「家屋調査はやってもらえるのか」
葛西「ご要望があれば」
発言者Ⓖ「何かあって後から本当ですかと言われるのは不愉快。みなさんのお宅を全部やってあげて」
大末「隣接家屋は対応する、道路向かいは検討する」
発言者Ⓖ「風害のシミュレーションはやったのか」
葛西「風害の影響はない。調査の予定はない」
会場「無責任」
●01:16
発言者Ⓗ「台風も大型化している。風害もどうなるか分からない。納得できない」
会場(拍手)
葛西「風害の被害はまずない。調査はしない」
●01:17
発言者Ⓘ「近くて低層か、遠くて高層か、地域に配慮して決めたと言うがズレている。住民にアンケートはしたのか」
葛西「アンケートはしない」
●01:21
田村「15階建てが建つことで地域にとっていいことは一つでもあるのか。人、街を活かすという理念がこの計画にあるのか。ここは軟弱地盤で地震が起きれば通常より揺れる。洪水氾濫危険区域でもある。近隣商業地域で高層建築が認められているのは、地域住民の生活に便宜を図るという公益目的のため。いろいろな意味でこの計画は非常に無謀。見直しを」
会場(拍手)
白石「理念を説明するには長くかかるがいいか」
(市の配布するガイドライン※を持ちだして長々と説明を始める)
①ガイドラインに従い、道路から1.5mの安全空間を確保する
②ガイドラインは新規建替をして町並みを整備することを推奨している
③ガイドラインは高層マンションを否定していない
など、地域に最大限配慮していると主張
※市のガイドライン:「大山街道 都市景観形成地区 安全及び景観形成方針・基準」「大山街道街なみ作法集~おすすめデザイン集~」
※野村の主張するガイドラインの説明には、あきらかな拡大解釈を含めいくつか問題点がある。→公開質問状「15.景観との調和」
●01:35
会場「そんなこまかいことはいい」
「なぜ15階建てなのかの説明がまだだ」…(怒号)
白石「15階建てをやめろという話なら、(これ以上)言うことはない」
田村「強行するということか」
白石「まず理念を説明しろということだったので…」
●01:38
発言者Ⓙ「その資料を読み込んで計画を立てたのか。反対が大きいから後付けで言っているようにしか聞こえない」
白石「反対されるのは珍しくない。みなさんが反対するのは止めない」
発言者Ⓙ「強行するのか」
白石「同意をとらなければいけないということはない」
発言者Ⓙ「階は下げないということか」
白石「下がりません」
発言者Ⓙ「下がらない?」
白石「ハイ下がりません」
会場「(こんなの)話し合いじゃない」
白石「階数を下げないと評価されないのであれば、説明することはない」
●01:40
発言者Ⓚ「小学校と協議してなにか改善されるのか。安心安全というが、だれが子どもの通学を見守っているか知っているか」
葛西「?…PTA…?」
発言者Ⓚ「違う」
会場「町会でやっている」「なにも分かってない」
発言者Ⓚ「(地域のことを)なにも理解しないで安心安全を言うのは違うのではないか」
葛西「まずは小学校との協議だが、それ以外も検討する」
●01:43
発言者Ⓛ「ベランダからの落下物に対する安全対策は?」
葛西「入居される方にルールを守っていただく」
発言者Ⓛ「(離隔距離※は)3.8mで十分か? 検証はしたか?」
葛西「(ベランダから物を投げるなどの)犯罪行為を入居者が行わないようなマンションを作る」
会場(?)
「(それでは)なんの保障にもならない」
※離隔距離:離す必要のある距離。この場合は建物から道路までの距離
●01:45
発言者Ⓜ「工事中に近隣の住居に被害が出たとき、無条件に補償する覚悟はあるのか」
白石「工事に起因すると認められれば補償する。遠く離れた場所では難しい」
発言者Ⓜ「査定するのではなく、近隣であれば要望通りに補償すると約束してほしい」
白石「無条件に補償するとは言わない。約束できかねる」
発言者Ⓜ「住民に寄り添う姿勢はないということか」
白石「(無条件に補償というのは)無茶な話。私にそんな権限があるわけない。真摯に協議すると言っている」
●01:51
発言者Ⓝ「家屋調査はどのくらいの範囲か。かなり離れたところも影響が出た(事例があった)と聞くが」
葛西「一般的かどうか別として、掘削から45度の範囲という基準が一般的で、大末さんの基準は分からないが、隣接周り道路向かいが一般的…」
発言者Ⓝ「向こう三軒両隣のような狭い範囲か?」
葛西「いや、隣接周りはもちろん…プラスご要望があれば、何でもかんでもはできないが道路向かいも」
発言者Ⓝ「要望しないとやってくれない?」葛西「離れた場所では難しいが、隣接周り道路向かい…」
会場「そんなあいまいでは話にならない」
葛西「あいまいではない。隣接周り道路向かい…」
会場「いい加減なこと言うな」
葛西「いい加減ではない…」
会場(怒号)
葛西「ご質問があればお名前を…」
●01:54
発言者Ⓞ「解体工事の騒音・振動の酷さで住民の怒りが爆発した」
「町会で自主協定を結んで景観を守ってきた。利益第一ではなく、企業理念に基づき景観第一で見直しを」
「登下校時間帯に作業が被らないように。また風害が子どもたちに及ぼす影響を調査してほしい」
「工事協定を結んでほしい。それなしに工事を進めないでほしい」
葛西「解体工事については知り得ないこと。今後の工事は配慮する」
「自主協定については把握しているが、階を下げるわけにはいかない」
大末「8時半からの作業開始には応じられる」
会場「それは嘘だ。別の工事も作業時間前から準備作業でザワザワやっている。目の前に住んでいる者は騒音から1日中逃げられない。たまらない」
葛西「配慮できることを修正した予定表を配る」
「風害の調査はしない」
「工事協定は締結してもよいが、着手の条件にはできない」
●02:06(終了予定時間となる)
葛西「時間がないのでこれが最後で」
発言者Ⓟ「地域の歴史や文化、考え方に配慮したと言うが、それと15階建てが結びつかない。利益第一との疑念が払拭されない。御社の企業理念に基づけば、検討の余地ありと考えるのが筋」
「小学校だけでなく、地域全体が子どもの登下校の安全に関心を寄せている」
「西側の側溝は通学路にもなっている大切な生活道路。拡幅も含めた検討を」
葛西「企業として利益を出さないといけない。15階は下げられない」
「拡幅は考えてない。一部フェンスを取るなど(改善策を)盛り込んだ」
●02:11
発言者Ⓠ「この地域に15階は突出している。ご自身は15階建ては景観が良いと思うか」
葛西「悪いとは思っていない。良くしようと思っている」
会場「次回はいつ(説明会を)やるのか」
葛西「次回の予定はない」
●02:15
田村「最後に確認。15階建ては絶対に譲らないということか」
白石「下げません」
田村「説明を聞きたいことがまだたくさんある。再度話し合いの場を」
白石「15階建てを許さないというなら、これ以上の話し合いはない」
「ケンカを売るつもりではないが、”15階はダメ”では結論は出ない」
「我々は我々の考え方で建物を建てる」
「地元でしか分からない事項についてはご教授願う」
「工事協定は交わしてもいいが、条件が合わなくても着工する」
会場「強引にやるのか」
白石「許認可が降りれば、安全に配慮して行う」
会場(怒号)
葛西「時間なので」
会場「再度話し合いを」
白石「書面でください」
田村「市に申し入れて再度の話し合いを要請する」
会場(拍手)
葛西「時間なのでご退出を」
時間切れ終了
[場外]
駐車場で後片付け中、降りてきた野村不動産一同と遭遇。発言機会がなかったので、ここで白石次長に直訴。
片岡「利益の追求と言うが、長い目で見ればこの強引なやり方はむしろ企業としての利益を損なう。人の暮らしや大切にしているものを踏みつけにして、あちこちで恨みを買うようなことを続けていたら、いずれ大きなしっぺ返しがくる。人の思いの強さを舐めてはいけない」
白石「我々には我々のやり方がある。理念を説明しようとしたが拒否したのはそちら」
片岡「求めていることと食い違っている。それが分からないのか」
白石「話も聞かないで食い違っているのはそちら…」
片岡「話を聞こうとしないのはそちら…」
(不毛な押し問答となる)
閉門となり時間切れ終了
[まとめ]
【15階建て】企業として利益を出すことが前提→15階建ては必須→反対なら話すことはない。近隣に配慮した一番やさしい計画【騒音・振動対策】できるところは配慮する、現場で対応(具体策なし)
【風害対策】被害はない。調査はしない(エビデンスなし)
【家屋調査の対象地域】隣接家屋、要望があれば道路向かいも検討(それ以外は難しい=やらない?)
【通学の安全対策】作業開始を8時半にずらす。小学校と協議(具体策まだ)。地域(町会)にも協力を仰ぐ
【落下物の安全対策】入居者のモラル次第(具体策なし)
【工事協定】交わしてもよい。条件が合わなくても着工
【側溝通路の利便性】一部パネルを排除、植栽。拡幅はしない
【軟弱地盤の地震対策】回答なし
【洪水等の災害対策】回答なし
【住民の利益(公益・地域社会への貢献)】回答なし
【企業理念との整合性】不明(中断)
↓
(仮に15階を容認したら、なにかいい話でもあるのか?)
●交渉材料がまだテーブル上に揃っていない